
今回は、神奈川県よりご来店いただいたM様にご注文いただいた、特別なオーダージャケットについてご紹介いたします。
M様は講演や講話など、人前に立つお仕事を多くされており、「堅すぎず、それでいて品格を感じさせる装い」をお求めでした。オーダージャケットをご検討される中で、「フォーマルとカジュアルを程よく融合させた、オンにもオフにも使える一着」を目指し、当店へご相談をいただきました。
デニムをスーツ地に仕立てるという選択
そこで私たちがご提案したのは、スーツ地としては一風変わった“デニム生地”を用いたジャケット。生地の風合いと仕立てのバランスによって、講演という改まった場面でも品よく映え、さらに日常使いにも違和感なく取り入れられる一着を実現いたしました。
通常、スーツやジャケットに使用される素材といえばウールやサマーウール、カシミヤなどが主流です。しかし今回はあえて「デニム」というカジュアル素材を選択。一般的には休日スタイルやラフな印象が強いこの素材ですが、色味や質感、織りの方向性を選定することで、“きちんと感”と“抜け感”を兼ね備えた絶妙なバランスに仕上がります。

カジュアル素材を上質に昇華
M様にご提案したのは、深いインディゴ調の上品な色味で、織り目が美しく整った柔らかめのデニム素材。ハリと柔らかさを併せ持ち、仕立て栄えする質感です。これにより、一般的なカジュアルジャケットとは一線を画す“きちんと感”のある一着に。ジャケットの形も、スタンダードなテーラード型を採用し、ラペルやポケットの形状もクラシックな印象に整えました。これにより、遠目からは通常のフォーマルジャケットのように見え、近くで見るとデニムのニュアンスが伝わるという、さりげない遊び心と上質さの同居が叶います。
DAVID LAYERこだわりの採寸
サイズについては、全身を隅々まで丁寧に計測し、スタイリッシュでありながら上品に見えるシルエットを目指して仕立てています。特にお腹まわりは、程よくタイトに仕上げることで、引き締まった印象を演出しました。
袖丈や衿幅に至るまで、0.5cm単位での微調整が可能です。DAVID LAYERではこの「0.5cm刻みの採寸」を採用しており、お客様一人ひとりの体型やご希望に合わせた理想的な調整を実現しています。採寸は初めてという方も、どうぞご安心ください。経験豊富なスタッフが丁寧に対応し、ご希望やお悩み、ご不安な点にも真摯にお応えいたします。
採寸したデータは厳重に保管しておりますので、2着目以降も同じサイズでのご注文が可能です。もちろん、体型の変化に応じて再調整も承ります。オーダースーツでは、肩幅・ウエスト・着丈など細部にわたり調整が可能なため、ほとんどのご要望にお応えできます。
採寸のプロセス
採寸のプロセスは、お客様とのコミュニケーションから始まります。お客様のライフスタイルや用途、好みを詳しくお伺いし、それに基づいて最適なデザインとフィット感を提案します。採寸は、肩幅、胸囲、ウエスト、ヒップ、袖丈、パンツの長さなど、細部にわたって行われます。特にダブルスーツの場合、フィット感が重要なため、体の動きを妨げないように細心の注意を払います。

袖まくりが映える「袖裏デザイン」へのこだわり
M様は「講演中に熱が入ると、つい袖をまくってしまうことが多い」と話されていました。そうした何気ない所作もデザインの一部としてとらえ、演出性を持たせるのが私たちのスタイルです。
そこで今回ご提案したのが、袖裏に遊び心のある裏地をあしらうスタイル。袖をまくったとき、チラリと覗く裏地がさりげないおしゃれポイントとして機能し、聴衆の視線を自然に引きつけます。
お選びいただいたのは、黒地に赤のハート柄。クラシックで落ち着きがありながらも、個性と華やかさを感じさせる配色です。デニムのインディゴカラーとの相性も抜群で、講演というシーンにもふさわしい品格を演出しました。
本格仕立ての証「本切羽」仕様の魅力
今回のジャケットでは、「本切羽(ほんせっぱ)」仕様も取り入れました。これは、袖口のボタンが実際に開閉できる仕様で、既製品によくある飾りボタンとは異なり、本物志向のオーダージャケットにのみ見られるディテールです。
この仕様により、実際に袖をまくるという動作が自然にできるだけでなく、着こなしの幅も広がります。ボタンを一つ外してこなれ感を出すなど、ジャケットの着こなしにリズムをつけることも可能です。さらに本切羽は、見た目にも高級感があり、細部にまでこだわったオーダーの証として、さりげないステータス性も感じさせてくれます。
デニムの魅力


カジュアルでありながら上品さも演出できる素材
デニムは元々ワークウェアにルーツを持つカジュアル素材ですが、織りや色味を選ぶことで上品さも表現できる稀有な存在です。たとえば深いインディゴカラーのデニムや、光沢のあるしなやかな生地を選べば、きちんとした印象を保ちながらも、堅苦しさのない“抜け感”が生まれます。オンとオフの垣根を越えた着こなしができる点は、ビジネスシーンや講演、会食など幅広い場面で活躍する魅力です。
経年変化を楽しめる素材
デニムは着用とともに風合いが増し、色の落ち方や生地の柔らかさなど、時間をかけて自分だけの一着に育っていく素材です。これはウールやリネンにはない、デニムならではの魅力と言えます。特にオーダーで仕立てたジャケットやスーツの場合、着る人の体になじみながら、動きや癖に合わせた“味”が自然と表れ、着るたびに愛着が深まります。使い込むほどに完成度が高まるという点も、デニムが選ばれる理由の一つです。
当店の豊富な生地とオプション
当店では、15000種以上の海外製から日本製の生地を豊富に取り揃えております。また、裏地やボタンも各1000種以上ご用意しており、お客様のニーズに応じたカスタマイズが可能です。限られた時間の中で、お客様の価値と存在感を奮い立たせるスーツを制作することを使命としています。
ジャケット単品のオーダーが可能な柔軟性
セットアップに縛られない、自由な提案力
多くのスーツ店では、「上下セット」でのスーツオーダーを前提としているケースが多く、ジャケット単品での仕立ては対応外とされる場合があります。しかし、当店では上下スーツはもちろん、ジャケット単品、スラックス単品といった柔軟なスタイルにも対応可能。
今回のM様も「セットアップではなく、講演用としてのジャケット単品を求めていた」というご要望をお持ちで、この柔軟性を大変気に入っていただけました。実際に使用されるシーンや用途を伺いながら、最適な仕立ての形をご提案できる点は、オーダー専門店ならではの強みです。
シャツ、スラックス、ベストなど幅広くご提案
当店ではジャケットにとどまらず、シャツやスラックス、ベストといった単品オーダーも承っております。今回もM様より「今後シャツもオーダーで揃えていきたい」とのお声をいただきました。シャツにおいても、「袖丈の調整」「首回りのフィット感」「ボタンやステッチのカスタマイズ」など、オーダーならではのディテールをご提案可能です。また、ジャケットとのトーンバランスを見ながら、コーディネート全体のご相談に乗れるのも私たちの役割の一つです。


デニム生地スーツを選ぶ際のポイント
“品のあるデニム”を選ぶ
デニム=カジュアルの印象が強いため、スーツに仕立てる際は「上質さ」と「品の良さ」が鍵になります。特に選ぶべきは、光沢感や目の詰まった織りがあり、見た目に凹凸が少ないきれいめデニム素材。色味は濃いインディゴやブラック寄りのネイビーなど、深みのあるカラーを選ぶと、フォーマルな印象を保ちながらも程よいこなれ感を演出できます。
また、柔らかくストレッチ性のある素材を選べば、動きやすさや着心地も大幅に向上し、講演や会食など長時間の着用にも最適です。
仕立てとディテールで“きちんと感”を演出
デニム素材の特徴を活かしつつ、スーツらしいきちんと感を出すには、シルエットや仕立てにこだわることが大切です。特にラペル(襟)の形状や肩まわりの構築、ボタンの質感、ポケットの形などは、フォーマルさを印象づける要素。たとえば、クラシカルなノッチドラペルや本切羽仕様の袖ボタンを取り入れることで、カジュアル素材でありながらも品のある佇まいに仕上がります。
さらに、裏地の選定やステッチの色使いなどで遊び心を加えると、堅くなりすぎず、デニムスーツならではの個性が際立ちます。
オーダースーツDAVID LAYER。 生地が15,000種類以上、裏地とボタンを合わせて 2,000種類以上、日本一豊富に揃えております。現代のスーツはもう仕事着ではありません。プライベートでもビジネスの場でも、スーツで 自分を着飾ることによって、どんな自分にもなれる! DAVID LAYERでは着る方の個性を最大限に引き出し、その方の名刺代わりになるような運命の一着。そして、世界で一つだけのオーダースーツを作らさせていただきたいと思っております。